用語及び定義
スポット溶接
ダイレクトスポット溶接
単相交流式抵抗溶接機
商用周波数の単相交流電力を利用するようにした交流抵抗溶接機。
インバータ式抵抗溶接機
インバータ(商用の交流電源を周波数の異なった交流電源に変換する装置)を用いて制御する抵抗溶接機。
整流式抵抗溶接機
商用周波数の単相または、三相の交流電力を、溶接変圧器の二次回路に挿入した整流器によって直流化した直流抵抗溶接機。
使用率(抵抗溶接機の-)
測定期間中の通電時間総和の百分率(%)表示
注記1) 分母には対応部品の熱時間定数を使用すると、電源及び附属 品が過熱せずに使用できるかどうかの目安が得られる。(JIS C 9305参照)
注記2)1回の通電作業での負荷時間(通電時間)と無負荷時間(休止時間)との和(マルチブルインパルス通電の場合は各総和の値を使用)をサイクルタイムと呼ぶ。
定電流制御
抵抗溶接において、主通電の各半サイクルまたは、各サイクルごとに主回路の電流の変動を検出し、この変動を自動的に補正する機能をもつ主通電回路の通電制御方式。(JIS C 9313参照)
定格入力電圧
溶接機を作動させるために必要な供給入力電圧の定格値。(JIS C 9305参照)
二次無負荷電圧
二次回路を開路状態にして、定格入力電圧が供給されたときの二次回路の出力電圧。(JIS C 9305参照)
定格容量(抵抗溶接機の-)
定格周波数の定格入力電圧で溶接機の負荷を調整し、50%の使用率で通電した場合に、規定の温度上昇に適合するような負荷時の入力kVAで表す。
定格加圧力
溶接機の基準となる電極配置において、溶接部に掛かる最大加圧力の保証値。
注記)重ね抵抗溶接においては電極加圧力(鍛圧を含む)に相当。突合わせ溶接ではアプセット力に相当する。
電極(スポット溶接用-)
注記)一体形電極(右図a)とキャップ形電極(右図b)とある。
オフセット電極
電極の接触面が、電極アダプターの軸と同芯でないスポット溶接用または、ステッチ溶接用電極。偏芯電極ともいう。
電極アダプター
おすテーパーまたは、めすテーパーによってキャップ電極を保持する装置。
電極ホルダー
電極チップの保持具。電極チップホルダーまたは、単にホルダーともいう。
ふところ(重ね抵抗溶接機の-)
注記)この空間は、ふところ間隔eと、ふところ深さlとで規定される。(JIS C 9305参照)
溶接加圧
溶接期間中に加える電極加圧力。溶接加圧力ともいう(図2参照)。
溶接電流
溶接部形成のために流す(本)電流。(図2参照)
電極加圧力時間
溶接加圧力が加わっている時間または、溶接加圧力が加わり始めた時点から鍛圧の開始時点までの時間。(図2参照)
加圧力負荷時間
溶接サイクル中に、被溶接材に電極による加圧力が掛かっている時間。(図2参照)
初期加圧時間
重ね抵抗溶接において、電極加圧指令信号を出してから溶接電流を流し始めるまでの時間。スクイズ時間ともいう。(図2参照)
溶接時間
抵抗溶接において、溶接電流を通じる時間。ウェルドタイムともいう。(図2参照)
注記)マルチプルインパルス通電では、個々の溶接時間ともいう。シングルインパルス通電では、全溶接時間という。
保持時間
重ね抵抗溶接において、溶接電流を流し終わってから電極を開放し始めるまでの時間。ホールド時間ともいう。(図2参照)
電極開放時間
二つの連続する溶接サイクルの間の時間で、電極が被溶接物と離れている設定時間間隔。オフ時間ともいう。(図2参照)
電流オフ時間
一つの溶接サイクル通電停止から、次の溶接サイクルの通電開始までの時間。
溶接サイクル
溶接して電極が原位置に戻るために、溶接機が行う一連の連続した動き。
溶接サイクルタイム
図2-スポット溶接シーケンスの例及び各名称 一定加圧力設定の例
電極加圧力
重ね抵抗溶接において、電極間または、電極と母材との間に加えられる力。
電極ストローク
溶接作業中の電極軸での、電極の物理的な移動量。
作業ストローク
有効ストローク
引上げストロークと、作業ストロークを合わせた値。
溶接打点間隔
電極寿命
電極の整形または、交換が必要なまでの、同じ電極で溶接できるスポット溶接の回数または、シーム溶接の長さ。
電極ドレッシング
重ね抵抗溶接において、電極の表面に生じたピックアップを除去したり、電極先端の変形を修正したりするために行う機械的な整形加工。単にドレッシングともいう。
分流電流
注記)電極の側面、電極ホルダーなどと被溶接材が接触して発生する分流 と、既溶接点の存在または、部材の構造によって不可避的に発生する分流とがある。前者の分流は防止する必要がある。
散り
注記)電極チップおよび、接する母材の外表面に生じる表面散りと、母材間に生じる中散りおよび、ナゲット内金属が表側に飛び出す表散り(シリーズスポット溶接などで発生)とがある。
溶接電流計(抵抗溶接用の-)
抵抗溶接電流のようなごく短時間通電の電流値を計測して、記録または、表示する装置。
注記)一般には、電流検出センサーとしてトロイダルコイルおよび、ホール素子が用いられている。
電極加圧力計(抵抗溶接用の-)
抵抗溶接部に負荷される、加圧力を計測する装置。
注記)通電中の電極加圧力変化を測定できるものもあるが、大半は通電しないで測定する方式を採用している。
溶接条件モニター
図5-重ね抵抗溶接部の各部名称(図はスポット溶接の例で示す。)
ナゲット
重ね抵抗溶接において、溶接部に生じる溶融凝固した部分。(図5参照)
ナゲット径
スポット溶接部または、プロジェクション溶接部の断面試験によって接合界面で測定されるナゲット部の直径。(図5参照)
コロナボンド
図7-界面破断部での溶接径及びコロナボンド径の定義
コロナボンド径
コロナボンド部の平均直径。(図5参照)
圧痕
重ね抵抗溶接において、溶接の結果、電極チップおよび、円板電極によって生じた母材表面のくぼみ。くぼみともいう。(図5参照)
圧痕径
電極によるくぼみ部の平均径。(図5参照)電極圧痕径または、くぼみ径ともいう。(測定方法はJIS Z 3139参照)
注記)“圧痕”は“電極圧痕”、“くぼみ”とも呼ばれる(JIS Z 3139)。JIS Z 3139では、圧痕径の2倍の位置間で作った面からの深さで、圧痕深さを定義している。
たがね試験
溶接部近傍の板間にたがねをハンマーで打ち込むまたは、圧入することによって溶接部の板厚方向に引張力を働かせて、溶接部の強さを判断または、溶接径を測定する試験。 (試験方法は、JIS Z 3144参照)
注記)溶接部を破断させないで、溶接部の変形能が要求を満足しているかどうかを判断する方法を、非破断形たがね試験。溶接径を測定するために溶接部を破断する方法を、破断形たがね試験という。